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  ストラディヴァリの再現の研究

 

ストラディヴァリやガルネリ(デル ジェス)の楽器はかなり昔からヴァイオリン(をはじめとする弦楽器)の最高峰とされ、その音の良さの理由を探るため様々な研究がなされてきたそうです。その研究とは塗られているニスの科学的な分析であったり材料や板の厚さの分析であったりと様々ですが、今までいずれの研究も失敗に終わってきました。

先日、あるお客様からテレビで放送された番組を録画したDVDをいただきました。2年ほど前の番組でストラディヴァリの秘密に迫り現代の新作楽器として再現する様々な取り組みを扱った内容でした。シャコンヌではストラディヴァリやガルネリを実際に修理する中でその音響理論やニスをほぼ解明し、新作楽器を作り出したところなのでとても興味深く見せていただきました。

その中ではストラディヴァリの楽器の形状や厚さをコンピューターで解析しそのとおりに再現する方法や、ストラディヴァリが生きていた時代に材料の木材に使われていた防虫剤が木材を硬くする効果があるとの事で、それを使用する木材にしみこませて楽器を作る方法が紹介されていました。ご覧になられた方もいると思います。

実際にそのような取り組みを目にしたのは初めてでしたが、見終えてから(短い映像を見ただけでは判断できませんが)確かに効果はあるのかもしれないな、と思いました。しかし本質をついているか、というと、そうとは言えないと思いました。やはり木である以上同じ厚さでも各部分の強さは異なりますし、防虫剤はその時代のすべての製作者が使用したでしょうから。しかし、勉強になりました。

ニスについては番組の中では触れられていませんでした。ニスが音にどれほど大きな影響を与えるかは実際に古い楽器を修理すると良くわかるものですが、それでも以前は「ニスは音にそれ程影響を与えない。」と誤った見方がされていて透明な硬いニスで楽器をコーティングしてピカピカにしてしまうことが普通に行われていたのです。また、それがストラディヴァリのオリジナルニスだと思われるようになっては、いくら科学的に分析しても本質にはたどり着けません。

番組の中では「ストラディヴァリはストラディヴァリであり、その秘密を探るような事はしてはいけないのだ。」という意見も紹介されていました。ストラディヴァリが殊更神秘的なものとされ、とても高価なものになってしまった世の中ではこのような考え方をされる方がいても無理の無い事だ、とも思います。

しかし弦楽器を扱う人間として私たちの考えは違います。ストラディヴァリの音を解明して新作楽器として現代によみがえらせる事は、素晴らしい音をより多くの人に広め、クラシック音楽の発展に寄与する事であり、もっと言えばクラシック音楽の今後を左右する事です。また、ストラディヴァリがなぜ良い音が出るのかがわからなければ、ストラディヴァリという楽器の本当の力を引き出す修理、調整も出来ないどころか、逆に楽器を駄目にしてしまう可能性が大きいのです。

今後もシャコンヌではストラディヴァリの再現の研究は続きますが、それと同時にこの音をもっと多くの人に広めていく努力が必要だと感じました。


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